The Psychology Money サイコロジー・オブ・マネー
The Psychology Money サイコロジー・オブ・マネー
Timeless Lessons on Wealth, Greed, and Happiness
一生お金に困らない 「富」のマインドセット
MORGAN HOUSEL
モーガン・ハウセル 児島 訳
はじめに
第1章 おかしな人は誰もいない
あなたがこれまでに経験してきたことは、 世界で起こった出来事の00000000%にしか相当しない。 しかし、それはあなたの考えの8割を構成している
第2章
運とリスク
何事も、見かけほど良くも悪くもない
第3章 決して満足できない人たち
お金持ちがとんでもないことをしでかすとき
第4章 複利の魔法
・ウォーレン・バフェットの純資産の95%以上は、65歳以降に得られたもの
第5章
裕福になること、裕福であり続けること
良い投資とは、一貫して失敗しないことである
第6章 テールイベントの絶大な力
5割の確率で失敗しても、富は築ける
第7章 自由
お金から得られる最高の配当とは、「時間」をコントロールできるようになること
最高の豊かさとは、毎朝、目を覚ましたときに「今日も思い通りに、好きなように過ご そう」と思えることだ。
人は、「幸せになりたい」から経済的に豊かになろうとする。 幸せとは、喜びの源だからだ。だが、何をもって幸せとするかは人それぞれで、定義するのは難しい。 とはいえ、誰にとっても共通の要素はある。それは、「思い通りの人生を送れること」だ。 好きなときに、好きな人と、好きなだけ、好きなことができる。それは、何物にも代えが たい価値がある。そしてこれこそが、お金から得られる最高の配当なのだ。
お金が人生にもたらす最大の価値は「自由」
従来の心理学が考察してきた客観的な諸条件のどれよりも、人間に幸福感をもたらす信 頼性が高い要因は、「人生を自分でコントロールしている」というはっきりとした感覚が あることだ。
つまり、どんなに高い給料よりも、どんなに大きな家よりも、どんなにステータスのあ 仕事よりも、「好きなときに、好きな人と、好きなことができる」生活を送れることの ほうが、人を幸せにするのである。
そして、お金が私たちにもたらす最大の価値がそれだ。お金は、自分の時間をコントロ ールできるようにしてくれる。これは、誇張ではない。蓄えが増えるごとに、人は周りの 都合に左右されることなく、自律的に生きられるようになっていく。「何を、いつするか」を自分で好きなように決められるようになるのだ。
少額の蓄えがあれば、病気で仕事を休んでもお金の心配をしなくて済む生活のた めに1日も仕事を休めない状態に比べれば、蓄えによる安心感はとても大きい。
さらに多くの蓄えがあれば、もし今の仕事を解雇されても、次の仕事を慌てて探す必要 はない。 良い仕事に就くチャンスを待つ余裕もできる。この差は、人生を変えるほどの大 きな違いになり得る。 半年分の生活費があれば、上司が怖くなくなる。「もし解雇されたら、 路頭に迷ってしまう」と怯えなくてもいいからだ。
さらに蓄えが増えれば、人生の選択肢が増える。給料は安くても時間の融通が利く仕事 を選べる。通勤時間が短い仕事を選ぶこともできる。急に病院に担ぎ込まれることになっ でも、医療費に不安を抱えなくてもいい。また、自分の好きなタイミングで退職すること もできる。どんな高級品でも得られないような、人生を変えるほどの価値が手に入るのだ。
どんなに好きなことでも、 自分でコントロールできないと辛い
この考えがに落ちた人なら、好きな
好きなだけできる人生を過ごすためにお金を蓄えることが、とてつもないリターンを生み出すという意味がわかるはずだ。
起業家として成功したデレク・シヴァーズは、ある友人から「どんなふうにしてリッチ になったのかを教えてくれ」と尋ねられたときのことをこう回想している。
友人にはこう話をした。
「僕はマンハッタンのミッドタウンで、年収2万ドルのフルタイムの仕事をしていた。そ の額は最低賃金に近かった。 (中略) 当時の僕は、一切外食もしなかったし、タクシーに も乗らなかった。月収にすると1800ドル稼いでいたが、生活費は月1000ドルほど に切り詰めていた。こんな生活を2年間続け、1万2000ドルを貯めた。22歳のときだ。 1万2000ドルを貯めた時点で、仕事を辞めてミュージシャンになるめどがついた。 月に数回ライブをすれば、そのギャラで生活費をまかなえる。このギャラと貯金があれば、 僕はもう昼間の仕事をする必要はない。自由になれるのだ。実際、1カ月後に仕事を辞め、 その後は一度も就職しなかった」
そう話し終えると、友人はその後の話が聞きたいんだと言ってきた。
僕は、「これがすべてだよ」と答えた。だが友人は、「違う。たとえば会社を売ったとき はどうだったんだ?」と食い下がってきた。
僕は、それは僕の人生にとってたいした出来事ではないと答えた。 銀行口座のお金が増 「えただけだ。僕がリッチになった、つまり人生が根本から変わったのは、仕事を辞めた2 一歳のときだったからだ。
モノではなく、時間こそが人生を幸せに導く
老年学者のカール・ピレマーは、著書「1000人のお年寄りに教わった30の知恵」(月 谷真紀訳、サンマーク出版)のなかで、米国の高齢者1000人にインタビューを行い、 彼らが長い人生経験から学んだもっとも重要な教訓は何かを探った。ピレマーは次のように書いている。
誰も千人のうち誰一人として欲しいものを買うためにもっと一生懸命働いてお
金を稼げば幸せになれたと言った人はいなかった。 誰も同じく千人のうち誰一人として周りの人と同じくらい裕福であることが大切で、さらに裕福ならばそれが本当の成功だと言った人はいなかった。
誰も 同じく千人のうち誰一人として将来にいかに高収入になれるかを基準にし 仕事を選ぶべきだと言った人はいなかった。
彼らが大切にしていたのは、温かな友情、高貴で大きな目的のための活動への参加、子 どもたちとゆったり過ごす充実した時間などだった。
また、「子どもたちは、親のお金(またはお金で買えるもの)を欲しがったりしない。 子どもたちはただ、親が一緒にいてくれることを望んでいるのだ」とピレマーは書いている。
モノではなく時間こそが、人生を幸せに導く、これが、人生経験豊富で、あらゆる体 験をしてきた人生の先達からのアドバイスなのだ。
次の章では、お金がもたらすもっとも少ない配当についても見てみよう。
第8章 高級車に乗る人のパラドックス
誰も持ち主には関心を示さない
第9章 本当の富は見えない
裕福さの誇示は、富を減らす一番の近道
第10章 貯金の価値
あなたが唯一コントロールできることが、一番重要なメリットをもたらす
第11章
合理的V数理的
冷徹な数理的思考より、おおまかな合理的思考がうまくいく
第12章
サプライズ!
歴史とは、未来を予測する地図ではない 1
第13章
誤りの余地
もっとも重要な計画は、計画通りに進まない可能性を想定した計画である
第14章 あなたは変わる
長期計画は見かけよりも難しい
第15章 この世に無料のものはない
代償を払わずにリターンを得ようとする“泥棒”になってはいけない
第16章 市場のゲーム
「別のゲーム」をしているプレイヤーから学んではいけない
第17章
悲観主義の誘惑
悲観論は楽観論よりも賢く、もっともらしく聞こえる
第18章
何でも信じてしまうとき
なぜストーリーは、統計データよりも強力なのか
第19章 お金の真理
あなたが本書で学んだこと
第20章 告白
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