金子みすず 童謡集

金子みすず 作

1、わたしと小鳥とすずと

 

わたしが両手をひろげても、

お空はちっともとへないが、

とべる小鳥はわたしのように、

地面をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、

きれいな音はでないけど、

あの鳴るすずはわたしのように

たくさんなうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、

みんなちがって、みんないい。

 

2、はちと神さま

 

はちはお花のなかに、

お花はお庭のなかに、

お庭は土べいのなかに、

土べいは町のなかに、

町は日本のなかに、

日本は世界のなかに、

世界は神さまのなかに。

そうして、そうして、神さまは、

小ちゃなはちのなかに。