最高の体調  鈴木祐著

100の科学的メソッドと40の体験的スキルから編み出した指南書

怒りや不満、不安をコントロールする。

集中力が持続し、生産性が劇的に向上。

進化医学のアプローチで、最高のコンディションに導く。

 

うつ病、肥満、慢性疲労、モチベーションの低下、不眠、不安、

病気、老化、散漫な集中力、弱い意志力・・・、

 

通常、これらの問題は別々の現象であるかのように見えてしまうため、

別々に扱われ、その場しのぎの解決策になりがち。

 やる気がない人:自己啓発本

 仕事の効率が悪い人:ビジネス書

 感情のコントロールができない人:心理学書

 体の不調:家庭の医学書  ・・・など

一見バラバラのように見えるこれらの問題も、根っこまで下りてみれば実は同じもの、

すべては一本の線でつながっている。

この本の目的は、あなたが日々の不満や不調を根こそぎ解決し、

あなたが生まれ持つ最大のパフォーマンスを引き出すお手伝いをすることだ。

(1)まずは、体調不良の改善ー狩猟採集民の食事に変える

(2)次に、運動ーウォーキングと筋トレをスタート

(3)続いて、メンタルの改善ー進化論の考え方を活かす

 

01.文明病

・1995年、ワシントン州の牧師、ボブ・ムーアヘッド著「現代の矛盾」抜粋

 私たち人間は、

 長大なビルを作り上げたが、気は短くなった

 道路を広くしたが、視野は狭くなった

 お金を使ったが、身に付くものはない

 物を買ったが、楽しみは少ない

 家は大きくなったが、家族との関わりは小さい

 便利になったが、時間がない

 専門家が増えたが、それ以上に問題も増えた

 薬は増えたが、健康な人は減った

 私たちは、

 酒を飲み過ぎ、

 煙草を吸い過ぎ、

 時間を無駄に過ごし、

 少ししか笑わず、

 毎日を急ぎ過ぎ、

 怒り過ぎ、

 夜更けまで起き過ぎ、

 目覚めたらすでに疲れている。   以上、抜粋

 これだけ文明が発達したにも関わらず現代の日本人は幸福からほど遠い場所にいる

 日ごとに自己を否定する気持ちが強くなり少しづつ心と体は蝕まれていく

 あなたが抱える問題の大半は、現代人に特有の「文明病」が原因 

・文明病のもっとも典型的な例は「肥満」

 かつてないレベルのカロリーを摂取している

 古代ではありえない肥満という現象

・集中力に大差

・豊かになればなるほどうつ病が増える

 

02.炎症と不安

・現代人の不調の原因を二つの要素に分類:

  (1)炎症の問題を解決するために、あなたの体と脳を根本からリセットする

   ①「腸」をリセットする

   ②「環境」  〃

   ③「ストレス」  〃

   ・長寿な人は体の炎症レベルが低い

   ・炎症が長引くと全身の機能が低下する

   ・内臓脂肪が減らない限り体は燃え続ける

   ・狩猟採集民の炎症状態は?

   ・睡眠と炎症の関係

   ・トランス脂肪酸と孤独

  (2)不安の問題を解決するために、現代人が陥りがちな心理的トラップを逃れる

   ①「価値」に関する心理的トラップから逃れる

   ②「死」   〃

   ③「遊び」  〃 

   ・不安障害の患者は15年で2倍に増加

   ・「ぼんやりとした不安」と「はっきりした不安」

   ・不安は記憶力、判断力を奪い、死期を早める

   ・「不安」の機能は、危険を知らせる「アラーム」としての役割

   ・農耕を始めて身長が20㎝低くなった?

   ・アフリカ人には未来という感覚がない

   ・コンゴピグミー族の「時間割引率」は異常に高い

    →(A)今1万円手に入れるのと、(B)1年後に1万1千円手に入れるのと

     どちらを選びますか?

     (A)を選べば1年後の10%の利益を捨てて、

     今の1万円を選んだことになる。1年間の割引率は10%となる。

      割引率が高い人ほど現在の価値が高く、

     「短絡的」「今を生きている」と言える

   ・炎症と不安はお互いに影響を与え合い負のスパイラルを描いている。

    ぼんやりとした不安が脳に炎症を起こし、その増強された不安が

    さらなる炎症の火種に変わる・・・。

    どこかで断ち切る、その作業はあなたにしかできない。

 

03.腸

・現代人の腸はバリアがどんどん破れている

 腸内細菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)は、

 ヒトの消化器官の中に住み着く様々な微生物 外敵と戦う働きをする。

 人間の腸は、栄養を体内に送り込むと同時に外敵が体内に入り込むのを防ぐという非常に難しい役目を任されている。腸内細菌は兵隊として働く。

 [腸内細菌による免疫システム]

 ①善玉菌が巨大なコロニーをつくり、敵に立ち向かうための前線基地を設営

 ②栄養素をもとにバクテリアを駆除する武器を作り出し、腸管からの侵入をブロックする

 ③食物繊維から酪酸という脂肪酸を生産し、有害物質が体内に入り込むのを防ぐ

 このシステムに不調が出てきている→「リーキーガット」という症状

 腸内の細胞に細かな穴が開いてしまう現象で「腸管壁浸漏症候群」と呼ぶ。

 膜の粘膜細胞が壊れてバリア機能が破れた状態。

 この腸の穴から未消化の食物やエンドトキシン(毒素)などの有害物質が血管に侵入

 これに反応した人体は免疫システムを作動させ体内のあらゆるエリアに

 慢性的な炎症を発生させる。

 症状としては、アレルギー、認知機能低下、疲れやすさなど。

 (コーネル大学研究チーム)

 現代人の謎の疲れに対して食物繊維やヨーグルトが効く可能性を示唆。 

・衛生的な生活が免疫システムを狂わせる

 抗生物質が腸内の善玉を殺し衛生設備が有用な菌との接触を妨げてしまう。

 腸内細菌は大腸に住んでいるが、エネルギー源である炭水化物から生成される

 ブドウ糖は、小腸で吸収され大腸まで届かないため、

 腸内細菌は食物繊維を食べて繁殖する。

 この食物繊維摂取量が現代人は減っている。厚労省:1日の食物繊維摂取量20~27g 

 に対して、今の日本人は13~17gで、狩猟採集民は42.5g

抗生物質を使うと腸内細菌が大量に死ぬ

 ビルや家屋がカビ毒に汚染されている割合は50%以上。

 [シックハウス対策]

 部屋の換気、水回りの修繕、雨樋清掃、室内湿度30~50%、空気清浄器設置。

 カビ毒は排水損傷部があると24~48時間でカビ毒発生、

 放射菌やエンドトキシンを大気中に撒き散らすため、早期修繕が必要。

 空気清浄機はHEPA filter 付き

・発酵食品で腸内細菌を迎え入れよう・・・40~50g/日 食べる

 納豆、キムチ(ラクトバチルス・プランタルム菌)、

 ヨーグルト(サーモフィラス菌)、味噌(ハロフィラス菌)

・このサプリを使えば症状は改善する

 「プロバイオティクス」:ビフィズス菌や乳酸菌という腸内細菌を使ったサプリ

 「ビオフェルミン」「ラクトーンA」という整腸剤としての商品もその一つ。

 花粉症などのアレルギー症状や、メンタル改善レジリエンス能力向上にも効く

 ビオスリーHi錠、Probiotic3、カルチュレル30べジカプセル、

 NOWサッカロミセスブライディ、海外サイト:iHerb

・食物繊維の驚くべき病気予防効果とは?

 野菜やフルーツの摂取を増やす

 ゴボウ、寒天、海藻、キノコ類、オクラ、リンゴ

・住む環境や食事を変えれば私たちの腸内は3日で多様性を取り戻す。

 

04.環境

・自然を失い、友人を失った人類の末路

 疲れたら自然と触れ合うことにより、確実に人体の副交感神経は活性化する

 理由:人類の「感情システム」に影響を与えるから

 「感情システム」の3つの構成要素

  興奮:喜びや快楽といったpositiveな感情をつくり、獲物や食事を探すための

     モチベーションを生み出すシステム。ドーパミンで制御されている。

  満足:安らや親切心といったpositiveな感情をつくり、同じ種属との

     コミニュケーションに役立つシステム。オキシトシンで制御されている。

  脅威:不安や警戒といったnegativeな感情をつくり、外敵や危険から身を

     守るためのシステム。アドレナリン、コルチゾールなどで制御されている。

  これらがバランスよく機能することが、良いパフォーマンスを発揮する。

  自然の環境は3つの機能をバランスよく刺激する。

・孤独だった人に友人ができると寿命が延びる

 自然を大切に、友人を大切に、遺伝と環境のミスマッチが起きた現代において

 自然と友人への投資こそが最も費用対効果が高い行為。

・リラックス効果

 ①自然の写真、音声で副交感神経を鎮める

  壁紙を山や海の写真にする。川や鳥の声をヘッドホンで聞く:1回/1日

 ②観葉植物で幸福度集中力のUP

  作業場、自宅のリビングの常に目に入る場所に置く

 ③公園に行く:2日に1回10分  

  自然の大気には大量の微生物が含まれており

  空気中で代謝と増殖を繰り返している、私達の呼吸器から体内に入って

  腸へ向かい免疫システムに影響を与える。

 ④太陽光を浴びる:1日6~20分

 ⑤大自然に身を置く:2週間に1回、キャンプ山登り釣りを年に3~4回

・自然生活の効果

 キャンプ、釣り、トレイルランニング、山登り、トレッキングなど、

 自然と触れ合うアクティビティを増やすほど、あなたの体内の炎症は鎮まっていく

人間の脳は人間関係をつくることが苦手

 アドラー:人間の悩みはすべて対人関係の悩みである。

 なぜ私たちはかくも他人とのコミニュケーションに悩まされるのか?

 もともと私たちの脳が見知らぬ他人とうまく人間関係をつくれるように

 設計されていないからだ。

 多くの人は、自分のネットワークに新たな友人が加わると昔のネッワークとは

 コンタクトしなくなっていく。密接な関係を維持するためには多大な認知機能と

 感情の投資が必要になるのが大きな原因だろう。

 ヒトの認知リソースは、大勢の友人をさばくようにはできていないため

 1回につき5人前後としか親密な人間関係は築けない。

 (進化心理学者ロビン・ダンバー)

 親密な人間関係を築くためには何をすべきか?進化のミスマッチという観点から本当

 に認識すべきポイント

 ①時間 :

  内向的、人見知り、コミニュケーションに自信がないとしても接触の時間を

  増やせば好意は得られる。

  メタ分析によればこの効果の影響が最大になる接触回数は10回~20回とのこと。

  「近接の原理」:近くに住む相手こそ好意を抱きやすい

 ②同期 :

  全員が近い場所で行うこと、同じタイミングで同じ行動をすること 

  で他者との関係を結びやすく、全体感を高めてくれる

 ③互恵

  好きなに相手に利益を与える。私たちが他者に与えられる最強のプレゼントは信頼

  「セルフディスクロージャー」を効果的に行ない、相手と親密になるための話題

   ・お金と健康に関する心配事

   ・自分がイライラしてしまうこと

   ・人生で幸福になれること、楽しい事

   ・自分が改善したいこと(体型、性格、何らかのスキルなど)

   ・自分の夢や目標、野望など

   ・自分の性生活に関すること

   ・自分の弱点やマイナス面

   ・自分が怒ってしまう出来事について

   ・自分の趣味、興味

   ・恥ずかしかった体験、罪悪感を覚えた体験

 

 

05.ストレス

・過剰なストレスが全身を壊していく

 「リアプレイザル」:自分の感情をコントロールし意図的に影響を

 与えることができる。自分のストレスをいかに言葉や思考に変換する中で

 どんな感情も再構築できる。

 ストレス反応が起き始めたら「楽しくなってきたぞ」「興奮してきたぞ」

 と自分に言い聞かせるだけ。

 昼寝でリフレッシュ効果、体力回復

 椅子に座って目を閉じて15分間休んだだけでも睡眠と似たような脳波が現れる。

 コーヒーナップ:カフェインが脳に達するまでに20分かかるため、

 20分後に目を覚ますと昼寝のリフレッシュ効果とカフェイン刺激が

 組み合わさって相乗効果をもたらす。

・運動で脳のパフォーマンスが上がる最低ライン:

 ①45~60分/1回セッション :ストレス改善、認知機能向上

 ②2回/週、4回/週の効果の差はない

 ③運動のレベル:「軽く息が上がる」~「ヘトヘトになるくらい」の範囲で行うこと

 

06.価値

・ぼんやりした不安を解消するたった一つの方法

 →未来を今に近づける、しかない。

 未来との心理的距離が近い者、自己連続性が高い者ほど不安に強く、

 セルフコントロール能力も高い。(スタンフォード大学

 自己連続性は未来を今に近づける。

・未来に目的があれば迫害すら乗り越えられる

 ナチス強制収容所で4年過ごした精神科医ヴィクトール・フランクル

 「夜と霧」 のなかで

 「強制収容所の人間を精神的に奮い立たせるには、まず未来に目的を

 持たなければならなかった。そこではニーチェの格言が的を得ている。

 ーなぜ生きるかを知っているものはどのように生きることにも耐えるー

 被収容者には、彼らが生きる「なぜ」を、生きる目的を、

 ことあるごとに意識させ、現在のありようの悲惨な「どのように」に、

 つまり収容所生活のおぞましさに、精神的に耐え、抵抗できるように

 してやらねばならない。」

 フランクル:人間はむしろ人生から「価値観」を問われているのであり、

 それに責任を持ってこたえなくてなならない。

 明確な「価値観」はナチスの迫害すら耐え抜くモチベーションを与えてくれる。

 価値に沿って生きるほど日々の悩みは消え、自然と自分をいたわる行動が増えてくる。不安に立ち向かうためには、まずは、あなたの「価値観」を見定めるべき。

・原始人にとって生きる意味は単純だった

 ①現在に対して未来に複数の可能性がある場合:

   将来のイメージがブレ、自己同一性が生まれにくくなる

 ②価値観が未来を一つにまとめた場合:

   現在と未来にはっきりした道筋ができる=未来を今に近づける

・あなたの人生における価値観とは何か?

 ACT:acceptance & comittement

 不安な感情に対処する方法を学ぶと同時に、自分の価値観を見定め、

 それに合った行動を増やしていくことを目指す、最先端の心理療法

 本当の価値観とは、

 あなたが人生でどのように行動したいのかを問い続けるプロセス。

 自分の人生に足りない要素を補うのが目的ではない。

 自分に次のように問いかけてみる

 「もし、すでに使い切れないほどの金を手に入れ、理想の仕事に就き、

 毎日が幸福感に満ち溢れていて、誰からも尊敬されていたとしたら、

 私はどのように行動するだろうか? 

 自分と他者との関わり方はどう変わるだろうか?」

 すべてが満ち溢れた状態でもなお行動せずにはいられない物事こそが、

 あなたの心の底に眠る本当の価値観である。

ミシシッピ大学の「価値評定スケール」

 あなたの真の価値観を探り当てる

 多くの臨床現場で実際に使われており、

 うつ病や不安障害などの治療に大きな効果を発揮している。

 人生の重要な領域を12種類に分け、それぞれのジャンルについて

 あなたが「どのように行動したいか」を1~2行の短い文章で書きこんでいく。

 ①家族:どのような父になりたいか、どのような関係を築きたいか、

  どのように振る舞いたいか

 ②結婚・恋愛:どのような夫でありたいか、関係性

 ③子育て:どのような親になりたいか、子供との関係性、個性の育て方

 ④友人・対人関係:どのような友情を育てたいか、

 ⑤キャリア・仕事:どういった点に重きをおいているか、

  仕事をもっと意味のあるものにするにはどうすればよいか

 ⑥自己成長:もっと知りたいことは何か、自分はどんな点に重きを置いているか、

  習得してみたい新しいスキルは何か

 ⑦余暇・レジャー:どんな趣味や遊びをしてみたいか、

  リラックスできるのはどのようなことか、

 ⑧スピリチュアリティ:宗教、大自然、宇宙のような人智を超えたものに対して

  どのような関係を築きたいか、

 ⑨コミュニティ・社会生活:どのようなコミュニティの一員でありたいか、

  地域社会にどのように貢献したいかチャリティやボランティアなど、

 ⑩健康:健康について何に重きを置いているか、どのようにケアしたいか、

  食事・睡眠・運動・疲れない体つくり・ライフスタイルなど 

 ⑪環境:地球環境の何に重きを起きているか、

  公害・大気汚染、環境の改善について貢献したいことは何か

 ⑫芸術:絵画・音楽・文学・アートとどのような関係を築きたいか、

  触れていたいか、参加してみたい芸術活動は、

 さらに今度は、人生のジャンルの「重要度」と「一致度」を10点満点で採点。

 一致度とは、過去1か月間を振り返って自分がどれだけその価値観に基づいた行動を

 取れたかを採点。

 ドイツ文豪ゲーテ

 「どこに行こうとしているのかわからないのに、決して遠くに行けるものではない」

・「価値」と「目標」どこが違うのか

 目標:未来に達成すべきゴールのこと。いったんクリアすればそこで終わり、

    成功や失敗がある。

    「クリエイティブな仕事につく」「結婚する」「弁護士になる」

 価値:常に現在のプロセスなので、どこまで行っても終わりがない。

    成功も失敗もない。

    「クリエイティブな人間でいる」「好きな人と楽しく暮らす」

    「弱い人を救う、新たな知識を学ぶ」

   ・・・現在進行形のプロセスに切り替わっている。

      価値に基づく行為は時間の心理的距離を「いまここ」に収束させ、

      未来への不安を消し去ることができる。

 

・人生の満足度を高かめる自己分析

 もう一つの分析方法:pursonal project分析(PPA)

 ケンブリッジ大学のブライアンリトル氏考案 ボトムアップ型のアプローチ

 STEP①:pursonal project のリストアップ

 STEP②:①から10個のproject を選択→マトリックスに書き込み、

     「重要性」「困難性」を10点満点採点。

 STEP③:上位5つのprojectに対する上位概念を展開する。次の質問をぶつける。

     最も上位に出てきた概念があなたの価値観を示している。

     およそ5~6段上位に進んだあたりで自分の価値観にたどり着く場合が多い

     1)このプロジェクトを含むもっと長期的なプロジェクト、

      スケールの大きいプロジェクトは何か?

     2)そもそも自分はなぜこのプロジェクトをやっているのか?目的は?

・幸福感が高まるのは貢献した時

 ミシガン州立大学 メタ分析によれば、

 人間は以下の4つの価値観に幸福感を感じやすい性質を持っている

  ①自治:どれだけ人生を自由にコントロールできるかどうか

 ②多様性:仕事や人間関係に多彩さがあること

 ③困難:人生のタスクに適度な難しさがあること

 ④貢献:他社の役に立っているかどうか

 価値観に沿った行動をとる限りあなたの未来はもはや失敗があり得ない。

 

07.死

・死を想うことでより良い生き方を選べる?

 ①スティーブ・ジョブズスタンフォード大学卒業スピーチ

   「17歳の時にこんな言葉を読みました。毎日を最後のひであるかように

   生きなさい。いつか必ずひとかどの人物になれる。私は感銘を受けました。

   それから33年間、毎朝、鏡を見て問いかけました。

   今日が人生最後の日なら今日することは自分がしたいことだろうか?

   答えがノーであるときはいつも何かを変える必要があると分かります」

 ②セネカストア派哲学者

   「生涯をかけて学ぶべきことは、死ぬことである」

 ③ホラティウス:紀元前23年ローマ詩人

   「明日のことはできるだけ信用せず、その日の花を摘め」

 ④聖書

   「飲みかつ食べよう、明日には死ぬのだから」

ブッダは、「すべての欲望を離れるためには出家するしかない」と教えており、

 現代人が日常で実践していくのは不可能。

 そもそもすべてをフィクションとして認めるためには「自分が生きる価値」すら

 解体しなければならず、そこには大きな苦痛が伴う。

・現代を生きる私たちは、狩猟採集民と、ブッダが編み出したアイデア

 ミックスさせつつ、できる範囲で死の不安を減らしていくのが現実的だ。

 そのためにキーワードは「畏敬」と「観察」

・「畏敬」の念を持つと体内の炎症レベルが下がる

 心理学でいう「畏敬」とは、「何か自分の理解を超えるような対象に

 触れた際に湧き上がる鳥肌が立つような感情」

 オーロラを目の当たりにした時、オリンピックで新記録が出す瞬間を見た時、

 全く新しい発想のアートに触れた時、など心の底からすごいと感嘆できれば

 それが「畏敬」。      

 ①自然:アウトドアの回数を増やす

 ②アート:定期的に美術館に出かける

 ③カリスマ:心が動くような人物の生涯を掘り下げる

・観察

 ①タイガータスク:

  1日5分づつ、「自分の思考やイメージを見つめる感覚」を理解する。

  2週間続ければ「自己観察」の感覚がつかめていくはず。

 ②マインドフルネス:

  1970年代マサチューセッツ工科大学ジョン・カバット・ジン博士

  従来の心理療法曹洞宗で行われる座禅の要素を組み込み、

  仏教でいう「念」の概念をマインドフルネスと訳したもの 

  意識としては、「その時の感情を自覚している」「いまの状況に集中できる」

  「常に自覚的に作業を行なう」

  いずれも私たちが普段の生活で気を付けている平凡な要素ばかり

  部屋掃除、皿洗いなど日常的な家事を一つ選び、ただひたすらに

  作業に集中するように意識する。最低1日5分づつ、8週間は続けること。

 ③マインドフルイ―ティング:

   食事の際はながら食いを止め、いつもより2倍の時間をかけて味わう。

  一口ごとに10秒をかけると意識するだけでもいい。

 

08.遊び

・狩猟採集社会に、重労働や苦役という概念がなく、

 狩りや移動生活などのハードワークを負担だと考えていない。

 また、日々の仕事を「遊び」に近いイメージでとらえている。

 遊ぶような感覚、ゲーム感覚として体験される。

・現代人の問題を解決するには、仕事・育児・勉強といった

 人生のあらゆる面を「遊び化」していく必要がある。

・ルール化することで「いまここ」に集中できる。

 生産性が高い従業員ほど、決まった仕事をしており、

 平均で52分ほど働いたら17分だけ休む、

 というインターバルを守る傾向があった(あるIT企業の調査結果) 

 ・「ポモドーロテクニック」:時間管理術

 一つの仕事を25分ごとに区切り、その間に5分の休憩をはさむテクニック。

 目標時間設定により明確なルールを設定し没入感を高める。

 そのほかにも「締め切りをつくる」、「作業を区切る」、、、など

 「ルール化」により「未来を細かく刻む」ことで、

 未来と現在との心理的距離を縮める・・・ポイント。

 作業をルール化しないと未来が遠いままに感じられる。

 「ルール化」とは、自分をマインドフルネスに導く道の一つ。

・幸福感が上がりやすくなる「3のルール」:

  アジャイルソフトウェア開発から生まれた技法

 ①今日やり遂げたいことを毎朝3つ書き出して実践

 ②今週やり遂げたいことを週頭に3つ書き出して実践

 ③今月やり遂げたいことを月初めに3つ書き出して実践

 ④今年やり遂げたいことを年始に3つ書き出して実践

 ⑤毎週末、レビューを行ない、うまくいった点を3つ、改善できる点を3つ書き出す

 実際の運用:

 ①その日に集中したいことを朝のうちに3つだけ紙に記入

 ②やるべきことを書いた紙を常に目の前に置き、決めた作業をこなす

 ③週末レビューする・・・このときに後述の「メタ認知」でプロジェクトを

   振り分けうまくいった点と改善点を3つづつ抽出し、

   次週のプロジェクトを事前評価していく。

 つまり、「週末はメタ認知フィードバックをする」と

 あらかじめ「IF・THENプランニング」に落とし込んでおけばいい。

・現在と未来の心理的な距離を縮める方法

 最も効果が高い技法は「IF-THENプランニング」

 やり方:自分が決めたプロジェクトについて「もしXが起きたらYをやる」

     といった形式で実行のタイミングをルール化しておくだけ。

  ex.6時になったら掃除をする、月曜になったら会社帰りにジムに行く・・・

 達成したいプロジェクトに対して必ずトリガーになる条件を付けるのが基本。

 実行の合図(IF)と行動(THEN)をまとめて設定するため

 私たちの心理の中では2段構えで将来の時間が固定され、

 その分だけ未来が今に近づくことになる。

・IF-THENプランニングにより日常の目標を達成する確率は、0.65=65%

 あらゆる状況への応用が効く

 [状況]計画通りに進める自信がない

 →[設定]12時までに原稿が終わっていなければ他の作業を止めて最優先に取り組

 [状況]嫌な顧客と話さなければならない

 →[設定]顧客からクレームが入ったらいったん深呼吸する

 [状況]健康を維持したい

 →[設定]肉を100g食べたら野菜を300g食べる、13時になったら薬を飲む

 [状況]誰かの役に立ちたい

 →[設定]仕事中に頼み事をされたら5分だけ手伝ってあげる

 このようにフォーマットに落とし込めれば「実行意図」が起動する

・更にテクニックの効果を高めたければ、

 「予想される障害に対して事前にプランニングをしておく」

 ①やり遂げたいプロジェクトを1つだけ選ぶ

  ・ジムに行く

 ②そのプロジェクトを達成するときの障害を3つ書き出す

  ・急にやる気がなくなる、同僚から飲みに誘われる、急な仕事が入る

 ③3つの障害の中から最も現実に起きる可能性が高いものを1つだけ選ぶ

  ・急にやる気がなくなる

 ④選んだ障害を「IF-THENプランニング」のフォーマットに落とし込む

  ・急にやる気がなくなったら、とりあえずジムの近所まで行ってみる

・数字の報酬効果

 数字のフィードバック(報酬)は、大きなインパクト(モチベーション)を持つ。

 最も手軽なフィードバックは、

 「その日のプロジェクトを達成したらカレンダーに○印をつけ、

  いつでも確認できる状態にしておく」

・「アカウンタビリティチャート」

 ①ノートの真ん中に区切り線を入れる

 ②左側に1日の作業時間を90分区切りで書く 

  90分(作業)、30分(休憩) または

  50分(作業)、10分(休憩)

 ③右側に実際にこなした作業内容を書く

 これが自分へのフィードバックとして働く。

 進捗記録・チャートをながめるだけでも脳満足感を得ることができる。

 この作業を続けると、セルフコントロール能力が上がり、目標達成度が向上。

・「メタ認知」を使ったフィードバック

 「メタ認知」とは、人の脳に生まれつき備わった能力で

 「思考について考える」という一段上の認知機能のこと。

・プロジェクトの要点を掴むために、意識的にメタ認知を起動させる。

 [やり方]

 ステップ① :事前評価

  プロジェクトを「始める前に」使う質問を自分に投げかけメタ認知起動。

  現時点での疑問や価値観などを改めて認識する。

 ステップ② :混乱ポイントの把握

  プロジェクトの「途中で」使う質問

  前に進まない原因を明確化する。

 ステップ③ :事前評価の評価

  プロジェクトが「終わった後に」使う質問

  自分の認識がどう変わったか、ギャップを確認する。

 ステップ①の質問

  ・このプロジェクトの具体的なゴールは何?

  ・  〃  できる準備は?

  ・  〃  現時点での疑問は?

  ・  〃  達成に必要な要素は?

  ・  〃  達成にかかる時間は?

  ・     達成によって得られるものは何?

  ・クライアントが自分に期待するゴールは?

 ステップ②の質問

  ・このプロジェクトで使っている戦術は上手く機能しているか?

  ・  〃  最も困難なポイントはどこか?

  ・  〃  困難なポイントへの違うアプローチは?

  ・自分が悩んでいるポイントは明確か?

  ・大量の情報から重要なものだけを見抜けているか?

  ・浮かんだ疑問をどこかに記録したか?

  ・このプロジェクトを楽しめているか?

  ・  〃  どんな経験が得られているか?

  ・  〃  もっと興味を持つ方法は? 

  ・  〃  自信を持って遂行できているか?

  ・  〃  興味と自信を増やす方法はないか?

 ステップ③の質問

  ・このプロジェクトは自分の理解と食い違いはなかったか?

  ・事前の計画通りに進められたところ、進められなかったところ?

  ・うまくいった理由と、うまくいかなかった理由?

  ・抱いた疑問や難点を記録に残したか?

  ・  〃  明確にして解決する方法は?

  ・クライアントから見てどこが欠点と感じられてか?

  ・同じプロジェクトをする場合、何処を変え、何処を変えずに残すべきか?

  ・今回のプロジェクトで最も興味が持てた点は?

  ・   〃  から学んだことで、自分の未来や大きな目標に活かせるポインは?

・人類は、大人になっても遊ぶ必要がある

  人生に遊びの感覚を取り戻し、遠くなった未来を現在に近づけることがポイント

  

 以上